2015年04月09日

米カンファレンス<Wisdom2.0>で、最前線のMindfulness瞑想に迫る~Day3~

スタジオ・ヨギーを展開するロハスインターナショナルの坪井です。
2月27日(金)~3月1日(日)の3日間、アメリカのサンフランシスコで開催されたWisdom2.0に参加してきました。

 

Wisdom2.0は、最先端のマインドフルネス瞑想についてのカンファレンスです。近年アメリカでは、アップル社の設立者である故・スティーブ・ジョブズ氏が瞑想に取り組んでいたことも一因となって、瞑想への注目が高まりつつあります。多くの研究者が科学のメスを用いて瞑想の効用を明らかにしつつあり、メンタル・コントロールの一つの手段として、また、集中力の向上、直感力を鍛える手段として、瞑想の実践者も徐々に増えてきています。そのようなアメリカでの“マインドフルネス瞑想”の最前線に迫ってみたいと思います。

最終日Day3では、マインドフルネス瞑想において重要な概念である「compassion」(他者への思いやり)をまさに実践しているRoshi Joan Halifax氏をご紹介しながら、アメリカのマインドフルネス瞑想の現状を総括します。

 

Roshi Joan Halifax ~Compassionは「実践」ありき

 

Roshi Joan Halifax氏は、平和運動家として著名な禅僧ティク・ナット・ハンから得度を受けた禅尼です。彼女は、ニューメキシコにあるUpaya禅センターの指導者であり、末期のがん患者や刑務所入所者へのボランティアに精力的に取り組まれていらっしゃいます。

 

20150409_06wisdomそんな彼女が強く強調していたのは、「compassionとは“他者への思いやりを、行動まできちんと落とし込む”こと」です。まず、彼女は「他人への思いやり・共感」という意味合いとしては類似している、compassionとempathyという2つの言葉を明確に区別します。empathyが「感情として、認識としての反応」である一方で、compassionとは「他人への思いやりの気持ちのもとで、行動を起こすこと」であると彼女は説きます。

 

そして、実際に、compassion(行動を起こす)ためのプロセスとして、「GRACE」を彼女は提案していました。Gathering attention(注意を向けること)、Recalling intention(目的を思い出すこと)、Attuning self/other(自己/他者に順応すること)、Considering what will serve(尽力したいことを考えること)、Engaging(実際に取り組むこと)。これらの頭文字を取って「GRACE」です。

 

ただ、GRACEというプロセスを説明されたとしても、実際に何から始めればよいか(HOW)を悩む人も多いと思います。そのような方に対して、彼女が薦めたことは、次のようなことです。

 

・子どもたちに教育・生活保護を与えること
・死に向かっている人のそばに寄り添うこと
・ホームレスの方へ食事を分け与えること
・食べ過ぎないこと・肉を食べないこと
・難民に保護を与えること
・刑務所でのボランティアを行うこと
・環境保護に取り組むこと
・女性のリーダーシップを支援すること
・人種差別に反対すること
・コミュニティーに貢献すること
・戦争を終わらせること

 

彼女のスピーチ後、全員が総立ちとなり、拍手を彼女に送りました。あの場にいた人たちの想いは様々だと思いますが、私は社会が抱える課題のあまりの大きさ、多さに改めて愕然とした気持ちになりました。ただ、その次の瞬間には、前述したLinkedInのCEOワイナー氏からの「Systemの中におけるSub-systemを意識せよ」という言葉が頭をよぎりました。社会の抱える大きな課題(System)を、自分はどのように解決するか(Sub-systemをどのように考えるか)こそが、人生を生きる意義のようにも感じました。Compassionは宗教ではなく、人類として取り組むべきこと、という彼女の言葉が私の心に残っています。

 

マインドフルネス瞑想のこれから~アメリカでも、マインドフルネス瞑想は始まったばかり

 

今年で6回目のwisdom2.0には、2,500人もの参加者、名だたる有名企業が参加したものの、やはり依然としてアメリカでも少数派であるということもわかりました。実際に、同じアメリカであっても、保守的な東海岸とオープンな西海岸では、マインドフルネス瞑想に対する態度が全く異なる印象を受けました。ただ、エリア以上に、今後マインドフルネス瞑想が広がっていくにあたって、企業のリーダー(指導者)のマインドフルネス瞑想に対する受容度こそ、とても重要な要素であると感じました。今マインドフルネス瞑想を導入している企業の多くは、企業のリーダーがマインドフルネス瞑想に感化され、全社導入にまで至ったケースが多いです。今後日本でマインドフルネス瞑想がどのように広まっていくか、引き続き、注目していきたいです。

 

しかしながら、どんな形であれ、今後、着実にマインドフルネス瞑想は広まっていくものだと改めて感じたエピソードがあります。アメリカ移動中での出会いです。移動する際にお世話になった自動車の運転手さんは、中国系アメリカ人で元軍人の方でした。私たちが日本語でマインドフルネス瞑想の話をしていると、マインドフルネス瞑想という言葉に気づいたようで、彼自身PTSD(心的外傷後ストレス障害)を患っていた頃、禅寺に通い瞑想を行うことによって、PTSDを克服した、と話し始め、アメリカの軍人はみな瞑想をすべきだと語ってくれました。PTSDに限らず、人間関係や仕事など、現代の人はみな、大なり小なりあれども何かしらの悩みを抱えています。そういった時代の中で、マインドフルネス瞑想を行うことが自分と向き合うきっかけとなり、悩みの解決の糸口に、そして今この瞬間を大切しながら生きていくことにつながっていくのではないでしょうか。脳科学者によってマインドフルネス瞑想の効果が証明されつつある中で、今後より一層、マインドフルネス瞑想が広がっていくのではないかという想いを抱きながら、帰路につきました。

 

瞑想を「簡単に寝たまんまで」はじめるなら……

 

瞑想には興味はあるものの、目をとじて雑念を払い、集中しなければならないもの、と難しく考えてしまってはいませんか。しかし、瞑想は、コツを知ればだれにでもできるものです。自転車に乗るのにだれもが最初は訓練をしたように、瞑想もトレーニングさえすれば習得できます。瞑想を簡単にはじめてみたい方は、「寝たまんまヨガ 簡単瞑想」にトライしてみてはどうでしょうか。

 

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