2015年11月28日

センターを探し続けて(後編)~Art of living interview~

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自分のセンターを探し続けなさい
 
──宝塚歌劇団での印象的な思い出はありますか?
 



アキコ・カンダ先生という、モダンダンスの有名な方が、宝塚の劇団レッスンにいらしたんです。劇団レッスンは、公演やお稽古が始まる前に自由に受けることができるレッスンで、バレエ、モダンダンス、ジャズダンス、歌など色々なものがありました。私はアキコ・カンダ先生のレッスンが大好きで、東京に帰ったときも、久我山のスタジオにレッスンを受けに行ったりしていました。
 
その先生にずっと言われていたことが、「自分のセンターを探し続けなさい」ということ。場面や、その時々によってセンターは違うから決めつけないで、探し続けてというふうにもおっしゃってました。先生は、マーサ・グラハムというアメリカのモダンダンスの草分け的な方のお弟子さんで、ニューヨークで学ばれてました。マーサ・グラハムはなんとピラティスをやっていたんです。今思えばそれもリンクします。
 
センターを探し続けなさいと言われて、若かった私は、センターとは身体の軸のことだと思っていましたが、今は身体だけではなく、心の中とか、精神的なものだとか、色々な意味のセンターのことだったのだとわかるようになりました。
 

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その先生が「アキコは、キャベツの芯になるの」とよく言ってらして。キャベツには芯があって、葉っぱがいっぱいついている。若いうちはもう無駄なことでもなんでもいいから経験をしていっぱい葉っぱをつけなさいと。でもある年齢になったら、それをどんどん取っていきなさい、という話なんです。
 
最後はキャベツの芯になれたらいいなとおっしゃってたアキコ先生は、亡くなる1週間前まで踊られていたんです。その舞台の映像を見たときに、あ、本当に最後は、キャベツの芯というか、自分のセンターそのものになられて旅立たれたのだと思いました。
 
センターを探し続けること…私も一生センターを探し続けて行くのだと思います。キャベツの芯を!
 
なんにもない状態よりも、葉っぱをいっぱいつけたことによって、得ることがたくさんあります。要らないものを取っていき、どんどん研ぎ澄ましていくというのは、葉っぱをいっぱいつけたあとの作業だと思います。
 
何もないところに、なにも生まれないわけじゃないですか。無駄なことも必要なことも全部経験をしたうえで、取っていく。私はまさにこれから取る作業をしていくんだな、と思っています。本当にいままでいろんなことをやってきましたが、今それが全部つながっていてすごく面白いんです。やってきたことに無駄なことはひとつもないなと思いますね。色々なことをやったからこそ、ピラティスやジャイロキネシスに出会えたんですから。
 
前編はこちら。
 

【Art of living interview】様々な世界観・生き方にある、“その人らしさ”をお届けしていくインタビューです。 “自分らしく生きる”人は、自分なりの哲学を持っています。生き方、日々の過ごし方、考え方、行動……インスピレーションとなって、私たちの心を豊かにしてくれる、そのひとつひとつが“アート・オブ・リビング”です。




 
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久保田 恭代/ヤスヨ

ピラティスインストラクター。6歳からバレエを習う。高校卒業後、宝塚歌劇団に入団。ジャズ、モダン、タップ、日本舞踊、フラメンコ、様々な踊りに出会う。退団後、舞台活動、振付、ダンスインストラクターをしながらコンテンポラリーダンス、舞踏、地唄舞を踊る。その後、踊ることから、からだそのものに興味をもち、ピラティスとジャイロキネシス、バー・アスティエに出会い、いまも続けている。現在、スタジオ・ヨギーで活躍するほか、テーマパークのダンサーや、役者にピラティス、ジャイロキネシス、表現力などのオリジナルワークショップをおこなっている。趣味は、観劇、映画鑑賞、美術館巡り。パワフルな舞台や映画をみて、エネルギーをもらっている。

 
 
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