2015年12月12日

小さい頃に知りたかったことが全部、ヨガにあった(後編)~Art of living interview~

DSC_0128


──自分はまわりの子どもたちと違う、と苦しいことはありましたか?
 
女の子たちがきゃははー!って盛り上がるようなことにはのれなかったので、だんだんグループに入れずぽつん、となって、私やっぱりおかしいのかな、と思い悩んだことはあります。ふつうになったほうがいい気がして、小学校高学年のころは、自分をおさえてまわりに無理やり合わせることをしていました。
 
学校で将来何になりたいか書きなさい、と言われたときは、なりたいものがなかったので、いかにも親が喜びそうな、スチュワーデス(現キャビンアテンダント)、とか、学校の先生とか書いていました。みんなよくこんな小さいのに将来何になりたいのかわかるな、と思っていました。(笑) 
 
私が小6のときに6つ上の姉が高校生でおしゃれをしはじめると、デザイナーってかっこいいよね、と、デザイナーになりたいと書いたりしました。そういうふうに表面的に合わせるところと、考えている自分とがあって、客観的に見る自分と、見られている方の自分とがあって。常に二重人格みたいな感覚がして、私だいじょうぶだろうか?と思っていました。
 
──一致した感覚になったときはありましたか?
 
それは、ヨガとあったときですね。大人になってきたら、世の中に合わせることのほうが多くなっていきました。二十代は飲食業を転々とするフリーターだったので、三十歳に近づいてきたら、世の中的に私、まずくない? 社会的に普通の人間になろう、と思って無理やり就職しました。
 
人材派遣のコーディネイターをしたのですが、イベントに派遣する100人単位の人を面接して、説明会をして、配置を決めて、当日もお世話をしていたんです。朝早くから終電まで働くような忙しいなかで、これはほんとうに自分がやりたいことなんだろうか?と考えるようになって、精神的に不安定になっていきました。この仕事の先に、私が本当にやりたいことがあるだろうかと考えたら、私がわくわくするようなことはなさそうだな、と思ったんです。やっぱりちゃんとこれから三十代を自分がどう生きたいのか考えようと仕事をやめました。
 
その後、派遣でオフィスワークを9時5時でしながら、それ以外の時間で本当にやりたいことを探そう、と活動しました。気づいてみたら、身体を動かすようなワークショップに色々行っていました。整体師による身体の使い方とか、スポーツクラブでピラティスやヨガやエアロビクス、太極拳や気功も受けました。カルチャースクールで野口整体の片山洋二郎さんがやっているワークショップに通ったり、格闘家の身体の使い方とか、本を出しているような人のセミナーがあると手当り次第行きました。
 
身体を通して自分と向き合うのがおもしろい、ということに気づいて。でも色々やりすぎて、支離滅裂になっちゃう、どれかひとつにしぼったほうがいいと思ったときに、考えてみたらい高校生ぐらいからひまがあればスポーツクラブに行ってヨガをやっていたから、ヨガでいいんじゃない?と。全部もしかしたらヨガで学べるのかも、という直観的なところから、ちゃんと集中して勉強したいと、無理やりヨガ一本にしぼろうと思ったころにちょうどヨギーのティーチャー・トレーニングコース(TTC)があったんです。ヤスシ先生の1回目のトレーニングで、知ったのは締切2日前でした。
 
DSC_0235
 
──それは、運命的ですね。
 
そうなんです。あるファッション誌のメールマガジンをとっていたんですが、たまたまめずらしく開いてみたら、ヨギーの宣伝があったんです。ティーチャー・トレーニングをやります、と。カリキュラムをみたら全部興味のあることだらけで。解剖学、ヨガのポーズ、哲学、呼吸法、瞑想、全部入っていたので、あ、これいい!全部ワンパックで学べる。貯金もあるし、スケジュールもなんとかなる、締切は2日後だ、申し込もう!ってなりました。
 
実は、そのトレーニングの間、それまで自分が逃げていたことと向き合わないといけなくなる感じで、よけい不安定になったんです。自分の隠していたパンドラの箱をあけちゃったみたいに、トレーニングの間すごく苦しかった。だから卒業のとき、大号泣するぐらいつらかったです。もう間違っていたのか、正しいからこうなのかもわからない、というぐらい、パニック状態でした。
 
でも「ヨガが本当に自分が求めているものだ」というような直感的なものがあって、苦しくても勉強し続けなきゃと思ったんです。TTC卒業後さらに拍車をかけて、あちこちワークショップやリトリートに行き、本を読んで勉強したり、1年たったころ、ああ、なんか小さい頃に自分が知りたいと思っていたことが全部ヨガにあるのかもしれない、と思いました。
 
──ミヤビさんにとってのヨガの魅力は?
 
潜在能力を引き出す、というところです。いろいろほかにも魅力はあるけれど、ヨガをやっていこう、と決めてやりだしたら、本当にやればやるほど、自分がこうなれたらいい、という予想を超えてくるところが魅力ですね。
 
TTCから始まって、それから何年も勉強して、自分に合った流派がみつかり、自分に合った哲学の指導者にも会うことができ、それも本当に運命的な出会いでつながって、すべてほんとうにヨガならではと思っています。

 
前編はこちら。
 


【Art of living interview】様々な世界観・生き方にある、“その人らしさ”をお届けしていくインタビューです。 “自分らしく生きる”人は、自分なりの哲学を持っています。生き方、日々の過ごし方、考え方、行動……インスピレーションとなって、私たちの心を豊かにしてくれる、そのひとつひとつが“アート・オブ・リビング”です。



067


島本 雅/ミヤビ

ヨガインストラクター。心と身体への興味から中学生の時に独学で瞑想を、高校生の時にヨガの練習を始める。仕事など環境の変化から一時ヨガから離れてしまうが、様々なボディーワークや身体技法に興味を持つうち、再びヨガを学びの基軸とする事を決め、生活の一部とするようになる。アヌサラ、アシュタンガ、パワーヴィンヤサ、シヴァナンダ など様々な流派の学びを経て、現在はアイアンガーヨーガとアドヴァイタヴェーダーンタ哲学を人生の学びの基としている。今後、ヨガという垣根を越えて、本質的なものをもっと深めていきたいと思っている。「姿勢を学ぶ」というワークショップを解剖学の中井先生とコラボで開催していく。

 
 
PR BLOG一覧に戻る