2016年10月02日

ヨガフェスタリポート 木村慧心先生の「伝統的ヨーガとヨーガ療法」 3/3

療法としてのヨーガ
 
インドには、アユッシュ省という、アーユルヴェーダとヨガの専門省があります。AYUSH省国際ヨーガ会議(2016/6/22)にも呼ばれて出席してきました。
 
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AYUSHのウェブサイト。AYUSHとは、Ayurveda, Yoga, and Naturopathy, Unani, Siddha and Homoeopathy(アーユルヴェーダ、ヨガとナチュロパシー、ユナニ、シッダとホメオパシー)のこと。
 
僕も、カイバルヨガ大学のヨガ病院で学びました。インドには、アーユルヴェーダの大学が、200校あります。ヨーガのナチュロパシーも別にあり、ヨーガの医学校と言われています。同様に、西洋医学の大学が 200校あります。いずれも5年間学びます。
 
僕なんかずっと七三(髪型のこと)で、でもヒッピーでした。いま、70歳近いです。そんな僕がいまではインド政府から信頼を受けて、5年のVISAを発行してもらっています。普通の人は、3ヶ月、企業や大学の先生でもせいぜい1年です。
 
九州大学の医療チームともヨーガの効果についての研究をしています。福岡で、がん患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)をあげる取り組みもしています。
 
インドのヴィヴェーカナンダヨーガ研究財団とも提携しています。ナゲンドラ博士は、インドのヨーガ資格試験をつくるひとです。ナゲンドラ先生はNASAでロケットの研究をしていましたが、だれも幸せそうじゃないというのを感じて、ヨーガの探求をはじめました。彼の三人の娘は医者です。
 
遺伝子の変化までみています。活性酸素が変わるのは、遺伝子が変化するからなのです。
 
体はトラウマを記憶します。16章に、ヨーガがあります。トラウマとは、過去の記憶の傷のこと。ヨガは、今。ヨガは、心理療法、つまりサイコセラピーです。ヨーガ行者にはストレスがありません。
 
心身医学を発展させたのは、心療内科です。ただ、心を治さなければ繰り返し、胃潰瘍になります。その最先端は、九州大学なのです。
 
厚生労働省に、ヨーガの論文があります。
厚生労働省 統合医療 情報発信サイト → 統合医療 エビデンス→構造化抄録 → ヨガ
の項目があります。
 
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コクランレビューという、医学論文のシステマティック・レビューにも、最高の論文に、ヨガもあります。
 
瞑想の意義について
 
さて、瞑想についてお話ししましょう。アナパナという瞑想法があります。
 
心を調べるのです。湖の底にあるダイアモンドをイメージしましょう。その光をストレートに外に出すには、表面を静かにすること。
 
アナパナは、表面を静かにすることです。水質をきれいにするには、まず、物の考え方をチェックすること。技術があっても、能力があっても、スポーツマンが力を発揮できないように、水質が汚いと、本来ある力や本質的なものを発揮することはできないのです。沖縄の嘉手納高校は今年、甲子園に出ました。実は、瞑想をやっていたんですね。
 
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私は、東京の大学を出てから、京都で宗教哲学を学び、空手道場でアーサナを学びました。その後、スウェーデン、ヒマラヤで学びました。私には3人の師匠がいます。そういうことを忘れちゃいけないんです。感謝の気持ち、それが、水質をきれいにする方法のひとつです。
 
刑務所にいるひとにはそういう考え方ができません。
 
アジア心身医学会というところでも、内観について発表したことがあります。人にはそれぞれ、こだわりがあります。でもそれを、とらないと、心身症になってしまうのです。
 
ポストトラウマティックグロース(post trauma growth)という言葉がありますが、トラウマがあったことで、成長する、とも言われます。
 
きれいな水をほかのひとにも分ける、それが、ヨーガ療法が目指しているところです。
 
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この日教えていただいたヨーガ療法のヨガは、いわゆるハタヨガのポーズとは異なり、むしろ地味な、ターゲットとなる部位を意識しながら拮抗させる、というものでした。伝統的なヨーガとは、過酷な山岳での修行(旅や長時間の座法)に耐えうる体力、筋力づくりだったようです。その技法をエッセンスに、さまざまな病状を抱えている方にパーソナルに適したヨガを処方するのが、ヨーガ療法のようです。
 
木村先生が長年、認定ヨーガ療法士のみなさんとともに集めてきたケーススタディ、さまざまな病状に対するヨガの効果、ヨガによる変化を、厚生労働省の統合医療 情報発信サイトで、エビデンス(症例)としてみることができます。
 
先日、映画『聖なる呼吸』でも、激しいフロースタイルのアーサナをするクリシュナマチャリア師が、晩年は、プライベートでヨガセラピーを施していた、とありました。師もまた人間で、年齢とともに心身が変化し、ヨガのもたらす効果を届けたい対象も変化していったことがうかがえます。
 
どんなコンディションにあるか、対象によって最適なヨガを届ける専門知識と技量が、ヨガ講師には求められているのを感じました。
 
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