スタジオ・ヨギーのしちです。伝統的ヨーガってどういうものでしょう? ヨーガ療法はふだん私たちがスタジオで受けているヨガクラスとはどう違うのでしょう? 素朴な疑問もあって、以前から気になっていた木村慧心先生の「伝統的ヨーガとヨーガ療法」のクラスをヨガフェスタ2016で受講してきました。先生にも掲載の許可を得て、当日メモに取った内容をご紹介いたします。
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木村慧心先生(右)と、スタジオ・ヨギーでもお馴染みユッキー先生。ユッキー先生は、木村慧心先生に師事し、瞑想や呼吸法、ヨーガの聖典などの伝統的なラージャ・ヨーガを学び、インドで伝統のヨガ修行をしました。ヒマラヤのヨガの聖地カイラス・ティルタプリへ修行経験も。現在はヨーガ療法士としても第一線で活躍し、スポーツ選手やメンタルトレーニングとしてのヨガや、障がい者施設や、老人ホームで、妊婦から高齢者まで、幅広い世代の人たちとヨガを行っています。
木村慧心先生は、ヨーガニケタンの代表を務めています。ヨーガニケタンとは、ラージャヨガを教える団体です。また、社団法人 日本ヨーガ療法学会理事長も務めています。2014年には、東京海上日動火災保険(株)との契約により、認定ヨーガ療法士のためのヨーガ団体保険ができたので、街の公民館等、いろいろな場所で、ヨーガ療法を実施し、参加者の方々が不幸にして事故等に会われた時に、補償する制度ができました。
伝統的ヨーガとは
木村先生の師匠が亡くなって30年経ちますが、かつて10年間ほど、ヒマラヤで師匠よりヨーガを学びました。チベットのラサからも、2000㎞離れた、高度5000メートルの場所でヨガをするそうです。マウントカイラスという山には、温泉があり、ヨガ行者が修行するところにはたいてい温泉があるそう。
インドのリシケシもヨガの聖地と言われていますが、木村先生いわく、ヨーガの本場はティルタプリ。7550メートルの山を越えてたどり着くその場所への道は、過酷な旅でした。ヨガ行者は、防寒具もなく歩き、氷河から流れた水が流れる冷たい川を何本も渡っていきます。零下20度を耐えたのは、温泉に浸かることができたから。
インドから仏教を持っていった修行僧のことを、パドマサンババと言うそうです。4800メートルにある洞窟で修行したり、シヴァ神が修行していると言われる海抜5000メートルのカイラス山で禊をします。祠の中で座って修行していると、足腰が衰えてしまう。ちなみに一番衰えるのは、宇宙空間と言われています。体がガチガチになってしまうのを防ぐことができるのが、伝統的なヨーガの技法。筋肉は、硬いほうがいいので、ストレッチしたり、もみほぐしたりしては、だめなのです。
インドのヒマラヤの谷の中、標高2000メートルのところにあるマナリに、ヨーガニケタンの道場があります。チベットのマナサロワール湖畔にも道場があります。長時間に渡る修行のため、ヨガ行者は独身であることが多いそう。ヨーガ・ニケタンの創始者スワミ・ヨーゲシュワラナンダ大師の墓所がそのままニケタン道場になっています。
現在、世の中で流行っているハタヨガを中心としたヨーガと、伝統的ヨーガや、ヨーガ療法は異なります。伝統的ヨーガは修行のために腕力、筋力が必要です。また、12〜18時間座り続けられる座法のことを、ヨーガと言っています。
ヨーガ療法には、3つの技法、「アーサナ」、「プラーナヤーマ」、「瞑想」があります。
いくつか実践してみましょう。
座ったまま、お尻の筋肉を鍛える方法
あぐらで座って、膝を押しながら息を吐きます。そのとき、膝を押し返すようにします。何回かやった後、お腹に手をあてて自然呼吸をします。息を吐くときに、講師に伝わるように、「あー」と声を出しながらおこないました。
このように緊張した後に、弛緩をすることで、交感神経、副交換神経のスイッチを意識的に入れることになり、治療になるのです。
一般にアイソトニック運動は、循環器を鍛えますが、ヨーガでは、アイソメトリック運動をします。
前屈、後屈がしやすくなる動きを紹介しましょう。
前屈には、息を吐きながら、腰骨に手をあてて、腰を前に出そうとするのを両手で止める。手と腰とで押し合います。
後屈には、息を吐きながら、腰に当てた手を押し合います。
仰向けになって、脚をのばして、そろえて、20センチ床から上げます。直角まであげるのを10回やると、心臓がバクバクします。このように心拍数をあげるのが、アイソトニック運動です。
人によって体のコンディションが違いますので、やっていいポーズといけないポーズがあります。眼圧を上げると危険な場合があります。それは、緑内障です。40歳以上の20人に1人は緑内障と言われています。その人たちにやらせたらいけないのは、逆立ちです。つまり、体が上で、頭が下になるポーズです。
伝統的ヨーガが広まった背景 につづく
2016年10月02日