スタジオ・ヨギーのしちです。ビューティ・ペルヴィスでもお馴染みの「筋膜ストレッチ」ですが、ロルフィングにおいてこそ筋膜にフォーカスしている、と聞きます。ふだんはパーソナルなメソッドであるロルフィングにおける、筋膜のケア方法について、ヨガフェスタ2016で扇谷孝太郎先生のクラスを受講し、体験してきました。先生にも掲載の許可を得て、当日メモに取った内容をご紹介いたします。なお、掲載にあたり、扇谷先生にも執筆ご協力をいただきました。
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扇谷先生は、The Rolf Institute 認定アドバンストロルファーで、ふだんは鎌倉と神楽坂でロルフィングのセッションをおこなっています。ロルフィングは、重力に対して無理のない姿勢や動き方を身につけるためのボディワークです。1960年代にアメリカの生科学者アイダ・P・ロルフ博士によって開発されました。
普通、ロルフィングのセッションはマンツーマンで手技を中心に行われますが、今日のクラスでは、ロルフィングのコンセプトの一つである筋膜のつながりや働き方に焦点を当てて、グループで学んでいきます。
全身のパーツは筋膜でつながっている
今回は、体をどういうふうに捉えれば、股関節を上手に使っていくことができるか、一見離れた体の部位同士の関連性を見出していきます。
人間の体は重力とバランスをとって立っています。重力との関係の中で骨格や内臓や筋肉が本来あるべき場所に収まっているとき、健康でもっとも高いパフォーマンスを発揮できると考えられています。そのため重力との調和がくずれることで、さまざまな不調やパフォーマンスの低下が生じます。
筋膜というのは、筋肉を包んでいる膜と思われがちですが、ロルフィングでは骨や血管、神経、内臓などを包んでいる膜も含めて考えています。筋膜はパーツがその場所に収まるよう、固定する役目を果たしています。弾力があり、クッション材の役目もあります。パーツ同士が滑りがいい状態が理想的です。そうして、それぞれの骨や筋肉を包みながらお互いにをつなげている部品が筋膜なんです。
つまり筋膜は全身のパーツをつなげて、姿勢や動きのベースを作っているんですね。
だから、ひとつひとつの筋肉をバラバラに鍛えるだけではだめなんです。体というのはつながりを持って機能しているからです。筋膜のつながり方を理解しておくと、お互いに影響を与えあっている場所を把握できます。
本日のテーマである股関節がうまく動いているときは、その前提として、いくつもの筋膜のつながりを介して肩の関節が動いています。逆も同じです。
エクササイズ前のチェック
まず、エクササイズ前の体の状態をチェックしましょう。
脚を曲げずに前屈してみます。どこに制限を感じますか?
歩きます。自分がどう歩いてるかを感じてみます。重心の移動、足裏のつき方など。
次に、床に寝て、ひざを立ててヒップリフトをします。すると、大臀筋を中心にお尻の筋肉にスイッチが入るはずです。しかし実際には、うまく使えていない人が多いですね。
そういう人は、前屈したときに、ひざ裏が痛かったり腰が伸びなかったりします。
どうすれば、大臀筋などのお尻の筋肉のスイッチを効果的に入れられるでしょうか?
「三角筋から大臀筋のスイッチを入れる」につづく
2016年10月23日