2016年10月23日

ヨガフェスタリポート 扇谷孝太郎先生の「ロルフィングに学ぶ~股関節は肩甲骨の夢を見るか?~」 2/2

三角筋から大臀筋のスイッチを入れる
 
肩の三角筋を考えてみましょう。人が二本足で立つ前、進化の過程でまだ四つん這いで歩いていた時、三角筋は、大臀筋、中臀筋と対になって動いていました。
 
そのシステムは今も残っていて、大臀筋は、三角筋と連動して動く必要があります。
 
三角筋を刺激するには、腕を横から水平にあげて抵抗をかけます。
 
ペアの人が上腕をおさえて抵抗を与えた状態で、水平にした腕を保ちます。呼吸は止めないように。三角筋の収縮を感じましょう。15カウントぐらいおこないます。
 
このとき呼吸の仕方が悪いと、肩が本来の位置を保てず不安定になります。肩甲骨は胸郭の上に乗っているからです。前もって胸郭を上部、下部に分けてしっかりそれぞれの動きを引き出しておきましょう。
 
hip_lift
 
そのあと、ヒップリフトをすると、三角筋を刺激した側が軽くなっています。三角筋と大臀筋の連動が起こり、スイッチが入ったのです。
 
さらに肩甲骨周辺の筋肉の動きを股関節につなげてみましょう。
 
腕を水平に横に伸ばし、肘をまげて、肩甲骨は動かさないように注意して、肘先で円を描くようにまわします。つぎに、肩甲骨ごと動かしてまわします。さらに鎖骨の動き、胸郭の動きと加えていき、最後は軽くひざをまげて、股関節との連動を意識してまわします。
 
そのあと、ヒップリフトをすると違いがわかります。先ほどよりさらに軽くお尻が持ち上がりますね。
 
股関節の伸展と後屈のときの肩の筋肉
 
たとえば、後屈のとき、股関節は伸展して前側が伸びます。このときミゾオチをひらきがちですが、そうすると肩甲骨が不安定になって肩の筋肉が働けなくなります。当然、お尻の筋肉も働かず股関節は不安定になってしまい、十分に伸展できません。
 
koukutsu_1
 
つまり、ミゾオチを閉じたまま動いたほうが、後屈しやすくなります。
 
後屈と三角筋の組み合わせを練習してみましょう。背中側で肩甲骨同士を寄せると同時に、三角筋など肩の筋肉をしっかりつかって二の腕を外に押し出すようにします。
 
肩を絞り込むときに、中に絞り込む力と外に広がる力を拮抗させるような感じになります。そうすると、胸椎が楽に伸展すると同時に、お尻の筋肉も働き出して後屈しやすくなります。
 
ペアになって、一人が後ろで手を組んで腕をのばして、左右の肩甲骨を背骨に寄せながら、二の腕は外に広げるようにします。肘を曲げてはいけません。その二の腕の動きを押しとどめるようにもう一人が抵抗をかけます。三角筋の力を使います。ミゾオチをひらかないトレーニングです。
 
もう一度後屈をしてみましょう。先ほどより、股関節が楽に伸展するのが感じられます。
 
肩と股関節を統合する
 
最後はプランク(腕立て伏せのスタートのポジション。一枚の板のように全身をまっすぐにする)をつかって、肩の力と股関節の力を統合しましょう。ここでは肩と股関節の間のいくつもの筋膜のつながりを活性化させることになります。
 
plank_pose
 
そのためのポイントは仙骨にあります。仙骨は上半身の力と下半身の力をつなげるカナメです。
 
仙骨は進化の過程で複数の背骨が一体化したものです。トカゲの場合は仙椎と言われていて、一体化していません。人間の仙骨は5つの骨が合体しています。上からs1、s2、s3、、、と呼びます。s2のあたりにカナメのポイントがあります。
 
s2のあたりを人に押されると歩きだしてしまいます。それより上や下の部分を押されても身体がしなるだけです。
 
プランクしているときに、s2をペアの人に押してみてもらいます。このときも呼吸をしっかり行うことが重要です。押される力に抵抗しつつ、姿勢を保って呼吸をすると下腹に力が入るのが感じられます。
 
それと同時に三角筋の力を意識して外に広げて行くようにします。すると、大臀筋などのお尻の筋肉にも力が入ります。三角筋と大臀筋の連動を意識することにより、しっかり体幹が使えます。
 
ランジの入ったポーズのとき、s2を押される感覚で行うのもいいでしょう。
 
最後にもう一度、前屈や後屈を試してみましょう。最初よりも楽に動けますね。柔軟性が向上しています。歩いてみると、重心の移動や、足裏の感覚が違うのを感じられるでしょう。
 
*********
 
股関節の動きをよくするのに、股関節を直接ではなく、肩甲骨に働きかける、というように、一見離れている場所に思える体の部位が関連し合っている、というのを実感しました。また、今日教わったような体を正しく動かす知識があると、ヨガのポーズをより効果的にすることができて、効率的だな、と思いました。自身の身体のクセや状態を知るために、プライベートのセッションを受けてみたい、と思いました。



PR BLOG一覧に戻る